MBA流ロジカル写真術 論理的思考でセンスの良い写真を撮る方法

センス(感性)をロジック(論理性)で乗り越えられるかを挑戦していきます

ロジック(論理性)でセンス(感性)を超えられるかに挑戦します

何のために写真を撮るのか ~「自分の為の写真」と「他人の為の写真」の違いとは?

あなたは何のために写真を撮っていますか?

子供の成長や旅の思い出を記録するためですか?それとも面白いことをSNSで誰かに伝えるためですか?もしくは仕事や副業としての写真撮影かもしれませんし、自己表現としてのアート写真を撮影する方もいるでしょう。

もちろん、単に撮りたいから撮る、でも良いと思いますし、そもそも写真を撮る時にそんな難しいことを考える必要もないと思います。

でも、今回はそれを論理的思考で整理して、それにより何が違うかを考えてみたいと思います。

撮影する理由を整理・分類してみる

イデアを整理する方法の一つにKJ法というものがあります。

KJ法とは、情報を付箋などに書き、同じ系統の情報をグループ化して、系統ごとに分類された情報を整理、分析していく方法です。グルーピングの仕方に正解はありませんが、その作業を通じて自分の思考の整理や事象の抽象化をするのに役立ちます。

例えば、上述の撮影する目的を私なりに整理してみると、大きくは「自分のために撮る写真」と「他人のために撮る写真」に分けられると感じました。

「自分のために撮影する写真」とは?

「自分のために撮影する写真」とは旅行や家族の記録写真、趣味でSNSにアップする写真やアート写真などがそれに分類分けされます。そこには特に制約はなく、自分の撮りたいものを、自由に撮影すれば良いはずです。だからこそ、写真家としての自身のテーマなどが関係してくるのですが、この辺りはまた別の機会に考えてみたいと思います。

「他人のために撮影する写真」とは?

一方で「他人のために撮影する写真」とは、主に仕事として撮影する写真です。プロカメラマンが撮影するポートレート写真や結婚式の写真、企業広告に使う写真やビジネス目的でSNSにアップする写真などが該当すると思います。

これらの写真は、自分が撮りたいように撮れるわけではなく、目的や撮影する対象などのお題があるという点か大きく異なります。

ビジネスパーソンだからころ気づく「他人のために撮影する写真」に必要なもの

私はプロのカメラマンではありませんが、ビジネスパーソンだからこそ気づく視点があると思っています。

私は「写真」も仕事での「プレゼン資料」も同じだと思います。例えば、良い「プレゼン資料」には明確な意志とその根拠があります。

・それは何を目的としているのか
・想定するターゲットは誰か
・何を伝えたいのか
・相手にどのように感じて欲しいのか

自分が作成した「プレゼン資料」の内容や表現についてこれらの問いに答えられれば、それは良い資料だと思います。そして、それは「資料」も「写真」も同じはずです。

Newsweek(国際版)へのビジネスポートレートの掲載

Newsweekは世界59カ国、4600万人が購読する米国のビジネス誌であり、私は自分の撮影したビジネスポートレートNewsweek(国際版)に掲載されたことがあります。この時に強く感じたことがありましたので、それを書いてみたいと思います。
www.newsweek.com

私が何故Newsweek(国際版)に写真を掲載出来たのか?

私の写真がNewsweek(国際版)に掲載されたのは、私がカメラマンとして認められたからではありません。たまたま勤務先企業が取材を受けることになり、私がその取材対応の統括をしていたことから、その過程で私が自社の代表者のビジネスポートレートを撮影しました。

最初、私は自社が製造業であることから、代表者にシャツ、ネクタイの上に作業服を着てもらい、工場の製造現場を背景にボカシた感じで撮影しました。プロジェクトX風で中々良い雰囲気に撮れたと自分では感じていました。

ところが社内で議論をする中で、海外営業担当の社員か発した言葉に、私は目から鱗の経験をしました。

その写真は「誰のため」の写真なのか?

その社員は途中からPJに参加をしたので、まだ私の写真を見る前でしたが、こんなことを言いました。

「日本企業では上半身作業服で工場を背景に撮影した写真をよく見かけるが、正直あれは有り得ない」「日本人向けには親しみ深い印象を与えるかもしれない。しかし、良くも悪くも欧米はエリートと労働者階級が分かれている。そしてNewsweekは欧米のビジネスエリートが読む雑誌だ」「だから、ビシッとしたスーツを来て、どうだ、俺たちは凄いだろう!というような自信溢れるポーズの写真でなくてはならない」

非常に論理的で的を射た発言でした。私もイギリス留学を経験していますが、実際にその通りだと感じていましたので、改めてターゲットを意識することの重要性を再認識させられました。
その後はその社員とイメージの擦り合わせを行い、ポージングや背景等にもこだわって渾身の一枚を撮影しました。

「上手な写真」=「良い写真」とは限らない

出版された雑誌を見てみると、他にも幾つかの日本企業の記事が掲載されていましたが、多くの写真は真四角の写真枠に上半身姿の証明写真ようで、中には作業服を羽織っているポートレートもありました。このスタイルの写真は企業ホームページではよく見かけますし、技術的にもプロが撮った写真と思われる上手い写真ばかりでした。
しかし、前述した視点で見ると違和感のある写真ばかりで、記事の内容を読む以前の問題として、欧米のエリートがその写真をみて「凄そうな会社だ」「この社長は優秀そうだ」と感じるかというと疑問を感じざるを得ませんでした。このことから、目的やターゲットを意識することが如何に重要かを改めて理解しました。

他人のため=ビジネスである以上、写真も仕事も重要なことは一緒ではないでしょうか。
少し長くなりましたが、今日はこの辺りで。